介護施設の労務トラブルにお悩みの事業者様へ

介護施設で起こり得る労務トラブル

介護施設は、職員の数に余裕がなく、一人ひとりの勤務時間が長くなりやすい職場です。上司が職員を注意指導したところ「パワハラだ」と言われたり、退職した職員から残業代を請求されたりする等の労務トラブルが起こりやすいといえます。

なぜ介護施設では残業代の請求が起こりやすいのか

介護施設では、次のような時間が「労働時間」(=残業代が発生する時間)になると考えられます。これらの時間については、施設側が「労働時間」ではないと考えていても、法律(労働基準法)では「労働時間」と判断される可能性が高いといえます。

  • 仮眠時間といっても、コールがあれば直ちに対応しなければならない時間
  • 始業前における制服への着替時間
  • 訪問介護で、利用者宅から次の利用者宅へ移動する時間

残業代の請求は、現在は過去3年分までさかのぼって行うことができます。また、裁判となり、判決まで至ると、未払額に加えて最大で同額の付加金の支払を命じられることもあります。また、一人の職員の請求をきっかけに、同じ働き方をしていたほかの職員からも請求を受けることがあります。
これらの時間は、1日当たりの労働時間は決して多いとは言えませんが、積み重なると膨大な金額となります。このため、日々の労務管理が非常に重要となってきます。

「何時から何時まで働いたか」を残すのは、施設側の義務です

施設には、タイムカードやパソコンの使用記録など客観的な方法で、職員の労働時間を把握することが求められています。タイムカードの打刻時間と就業規則の労働時間(「所定労働時間」といいます)が異なる場合には、施設側において差異時間が労働時間ではないことを証拠化しておく必要があります。これは、問題が生じたときに焦って行うものではなく、日々の労務管理において、打刻時間と所定労働時間に差異がある場合には、その職員に対し、差異の理由を確認し、記録化しておくことになります。

当事務所では、介護施設における労働時間管理の適正化を実現するため、次のような点検と改善をお手伝いします。

  • 夜勤体制の見直し(仮眠中は呼び出さない体制にするか、労働時間として扱うか)
  • 固定残業代や変形労働時間制が、規程と運用の両面で有効かどうかの確認
  • 残業を事前申請制にするなど、時間外労働の運用ルールの作成

パワハラと正当な指導の境目を知ったうえで指導を

業務上必要かつ相当な範囲内で行われる指導は、パワハラには当たりません。介護の現場では、誤薬や転倒につながる行為を厳しく注意しなければならない場面があります。入居者の安全確保という観点からも、問題行動が認められる職員には、毅然とした態度で注意することが必要です。

パワハラに該当するか否かは、指導方法の相当性が重要です。「指導方法の相当性」とは、簡単に言うと、「どのように伝えたか」ということです。たとえば、次のような伝え方は、指導の目的が正当でも、指導方法が相当ではないと評価されるおそれがあります。

  • 利用者やほかの職員の前で、長時間にわたって叱責する
  • 「向いていない」「辞めてしまえ」など、人格や存在を否定する言葉を使う

指導の際は、問題となった行為と日時を記録し、何をどう改めてほしいかを具体的に伝えることが大切です。口頭での注意を重ねても改善しない場合は、書面で注意し、その記録を残します。こうした手順を踏んでおけば、後から「パワハラだった」と主張されても、指導の正当性を示すことができます。

指導をためらって問題を放置すると、利用者の安全が損なわれ、最悪の場合、介護事故にもつながります。また、まじめに働くほかの職員の負担が増え、離職につながります。指導しないことは、施設にとってのリスクです。

介護施設の運営に、弁護士を活用すべき理由

労務トラブルは、問題が発生してから対応するよりも、問題が起こらないよう日々の労務管理をしっかりと行う方が、費用、時間、ストレスのいずれも少なく済みます。介護施設の運営において、弁護士を身近な相談先として持つことで、次のようなサポートを受けることができます。

  1. 規程と記録を整える:就業規則、賃金規程、勤怠管理の運用を、法律と介護施設の働き方に合わせて見直します。
  2. 指導の場面で相談できる:「この職員にこの伝え方で問題ないか」を、指導の前に確認できます。
  3. 請求を受けたら代理人として対応する:残業代の請求やパワハラの申立てに対し、交渉、労働審判、訴訟まで対応します。
  4. 管理者向けの研修を行う:労働時間の考え方と、パワハラにならない指導の方法を、施設の事例に沿って解説します。

ご相談ください

「うちの時間管理は大丈夫だろうか」「この注意はパワハラと言われないだろうか」など、介護施設の労務問題について、お気軽にお問い合わせください。名古屋市を中心に、愛知県・岐阜県・三重県の介護施設からのご相談をお受けしています。

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